Beyond the Silence

Sound of Science

ききしより眺めにあかぬ厳島

先週末、広島へ学会出張にでかけた。

日本中の同業者が集う総会への出席のためである。今回幸いにして口演の機会を得たので (学会の規模が大きいため多くはポスター演題に回る)、いつものように発表前夜までスライドを作っていた。

 

予定時間を少しオーバーして発表が終わり、質問も場外戦を合わせてちらほら。基礎研究の演題だったのでマニアックなネタについてこれる人のほうが少ない。

いくつかの重要なヒントを得て、実りのある発表ができた。ちなみにその質問をした先生は、昨年出版した論文の査読者だったりする。

 

 

発表が終わり、午後の余暇を使って観光。学会の3大醍醐味のひとつだ*1。我々の分野の学会は、当然ながら東京が最も多いのだが、地方都市でも順次開催されるため日本各地に出かけることができる。広島は2回目の訪問になった。ちなみに本記事のタイトルに持ってきたのは秀吉の句。

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iPhone SEのカメラで。学会出張では荷物になる一眼は持ち歩かないのだが、今回ばかりは持ってくればよかったと後悔した。非常に良い天気で、清盛が歩いた厳島神社の回廊を巡り、清盛神社まで足を伸ばした。

 

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宮島は鹿だらけだった。 

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広島といえばお好み焼きである。広島人に間違っても「広島焼き」などと言ってはならない。広島のお好み焼きこそが唯一のお好み焼きである。・・・ということを大学院時代に学んだ (上司が広島人)。学会中日の昼食を市内の湯気がむせ返るお店で食べたのだが絶品であった。写真は撮り忘れた。

 

 

じつは今回の学会出張の前後で体調をくずしていた。発表のプレッシャーはあってないようなもので、やはり遅々として進まぬ論文執筆のストレスが大きかった。この記事をupしたらまた論文書きに戻るが、最初の原稿を書いていた2〜3か月前とくらべてそれなりに前進があったようにも思う。

学会会場で共著者とディスカッションをして、また一歩前に進むことができた実感を得て、少し胃の痛みは軽くなった気がした。いや、もしかしたら留学中の仲間との再会の宴を持てたからかもしれない。北米のひとつの町に5人いた耳鼻科医が、今は全員帰国してそれぞれの場所で頑張っている。それに励まされつつ、将来のことを考えた出張であった。

 

 

 

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ちなみに・・・ようやくクリスタル到達!*2JALグローバルクラブの入会資格が得られるサファイアステータスまであと11,519FOP。東京出張が秋に決まっているので4,204FOP確定。7,315FOPをどこかで何かのついでにGetすれば良い。がんばろ。

*1:勉学、観光、宴会

*2:今回初めて、出張に際して必要以上に飛行機に乗るいわゆる修行を行った。有効期限の切れそうなマイルを変換したe-JALポイントと最低限支給される出張費である程度賄ったが少し足が出てしまった。これを繰り返してダイヤモンドまで行ける人はある意味凄い。

最新型補聴器のレビュー2017

ご無沙汰しています。

 

 

留学中のデータを基にした最後の論文執筆にかかりきりで、ブログを書く心と時間の余裕が持てませんでした。

ボスとやりとりしていますが、あちらは今Easterの休暇なので、メールが返ってくるつかの間こちらも自由を満喫することができますw

 

さて。

今日は補聴器の話。以前ブログでも取り上げたし、難聴者が題材の漫画のレビューも最近したところ。

(ブコメに質問があったので以下数行で本記事のまとめを追記します。)

  • 補聴器は数年 (メーカー推奨は5年)に一度買い換える必要がある*1
  • 健康保険はきかない (眼鏡やコンタクトレンズと同じ扱い)
  • 身障者手帳を持っていれば、もしくは自治体・年齢によっては中等度難聴でも、補聴器購入には一定の補助がでる。しかしその金額は微々たるもので、最低ランクの補聴器を1個買えるだけの額しか出ない。

 

 

www.aurora3373.net 

www.aurora3373.net

 

 

難聴者であり耳鼻科医である自分も補聴器のヘビーユーザーだが、使っている機種はもう買ってから丸7年になるので、ボチボチ買い換えの時期。メーカー推奨は5年なので、大事に使って何とかここまで持ったというところ。数十万の買い物なので、できるだけ長く使いたいものだ。

 

再生医療など内耳性・後迷路性 (神経性)難聴そのものを治療する方法はほとんど進んでいないのが現状。自分も研究を続けているし、世界中の内耳ラボで実験が続けられているけれど、神によってつくられた複雑精緻な内耳の機能を再生させることは簡単ではなく、これからも挑戦がつづく。

 

一方、補聴器の領域はここ20年で劇的に進化した。20年前はまだほとんどの補聴器がアナログ式で、ちょっと良い機種になるとノンリニア増幅 (強大音をさらにドデカくして耳を破壊することがないように増幅のカーブが変わる)がついている程度だった。それからデジタル式補聴器が出て、これも出た当初は機械的な音が目立って装用感が悪かったものだが、日進月歩で進化する技術で、現在はかなり使いやすいものになってきている。雑音抑制、金属音の抑制、音の指向性、両耳間の通信、Bluetooth連携など、様々な機能が最新機種には搭載されてきており、騒音下でも割と聴き取りやすくなっている (昔の機種だと全ての音が均等に増幅されるので、飲み会や空調音、反響の強い場所などでは会話が困難でした)。その分、価格も上昇カーブを描いていて最上位機種はやたら高騰、機能によって分かれているので安い機種はそれなり。。

 

自分が使っているのは7年前当時の最新機種の中級機。両方で55万くらいだったと思う。数年でこの金額を捻出するのは大変で、100万近い最上位機種など雲の上なのだが、上位機種の力はいかほどか、そしてどのくらいこの数年で進化しているのかを確かめるために試用してみた。多くの販売店で補聴器の試用サービスをやっており、高額な買い物をする前に効果を確かめることができる。尤も、補聴器が真価を発揮するのは綿密な調整をした後なので、試用だと3割減くらいの使用感になるかな。

 

 

今回試用したものは某大手 (世界6大メーカーの一つ)の最新型・最上位機種。買ったら100万、なくしても100万。恐ろしい。

まだ自分の耳に完全に合わせきったわけではないので最上位機種の実力を発揮できてはいないのだが、7年前の中級機と比べると騒音抑制の威力が全然違うのと、金属音などに対するレスポンスが速い。音が響く途中でグッと抑制されていくので、違和感を覚えたほど。これなら飲み会でも会話が少しはできるかもしれない。

現機種との違いから感じる違和感には新機種だけを使っていたら慣れるのだろうけれど、基本的には挿耳型の7年前モデルを日常使いしているので、その違いになかなか慣れない。iPhoneのbluetoothにつないでいつでもどこでも音楽が聴けると思っていた*2が、音質的にはあまり良くなく、ノイズキャンセリングヘッドフォンを補聴器の上からかけるほうが数倍良い音で聴くことができた。この辺は改善の余地あり。

この最上位機種はまだ耳掛け型しか出ていないので、挿耳型が出たらまた試してみたい。特定メーカーに肩入れするのは職務上良くないので、機種を知りたい方がもしおられましたらTwitterでDMください。

 

 

 

よくわかる補聴器選び 2017年版 (ヤエスメディアムック506)

よくわかる補聴器選び 2017年版 (ヤエスメディアムック506)

 

この本を自分の外来に置いています。難聴の簡単な説明から書いてあって専門家以外でもわかりやすい。最近親御さんやご主人・奥様の聞き返しが増えた・・・なんていうことがあれば読んでもらうのもいいと思います。

 

 

 

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今年は桜が長持ちだった。特に幹から直接生えている花は長生き。

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*1:聴力にもよるが両耳装用がベストなのでコストは2倍

*2:じつはこの機能に一番期待していた