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Beyond the Silence

Sound of Science

移籍第1号

っていうのは野球やサッカー選手の話だけど、研究者の世界でも環境が変わると大変なのは同じ。

留学してきて1年半、ようやく論文がPublishされた。同僚との共著で、単独筆頭著者ではないのでちょっとアレだけど、それでも嬉しい。
 

よくみたらこの論文だけで4つもブログ記事を投稿してた。よっぽど嬉しかったらしい。逆に言うとそれくらい、零細研究者にとっては大きなイベント。 


 

 

 

論文は、大まかな筋書き = storyが最初にあって、必要なデータがだいたい揃ったくらいのタイミングで書き始めることが多い。論文の質は、そのstoryの新規性・独創性*1と、データの質・量に依存する。発案からデータが揃うのは生命科学の研究では早くて半年、ものによっては数年かかるし、それから論文を書いて足りないデータを補ったりするのに数か月。トータルでは1年〜数年の時間が必要だ。研究テーマは大抵いくつかが並列で動いているので、これらの作業は別テーマの実験、抄読会や進捗報告会の準備などをしつつ行われることになる。こちらに来てから9か月ほどでこの論文用のデータは出たのだが、実験系が院のときと同じだったのと、最初の数か月は同僚に日本人がいてラボの文化 (誰々には気をつけろ!とか・・・)だとか物の場所とかを教えてくれたのが大きい。彼を含め周囲のサポートに感謝したい。
 
論文執筆自体は、院生の頃までは日本語で先に書いて、それを英語に訳していたけど (研修医の頃はもっと酷かった。自動翻訳ソフト使ってた)、最近はようやく英語で書けるようになった。慣れるとこっちのほうが速い。ボスもネイティヴではないので、内容や論理に突っ込みが入ることはあっても英文自体はそこまで修正されないのだが、同僚の英国人の手にかかると全く別のものになって返ってくる。自分が日本語で書くようなものだと、半ば諦めているが、もっと努力しないといけないんだろうな。書き方やタイミングは分野によっても研究者によってもまちまちだ。生命科学系の論文はいわゆるIMRAD (Introduction, Method, Result, and Discussion)に沿って書かれることが一般的。まずデータをFigure (論文クオリティの図表)にまとめ体裁を整えてから、一番書きやすいMethodとResult (とFigure Legend)を先に書いて、イントロとDiscussionを書いていった。今回は同僚と1st authorを分け合ったので、かなり労力は少なかった。
 
論文英語に使われることの多い表現は、自分でメモ帳にまとめてあるものの他に、このサイトにいつもお世話になっている。茨城大学の大山先生のサイト。

科学論文に役立つ英語

自分の書いた英文がどれくらい一般的な表現なのかは、google検索の結果件数や、

Incremental PubMed/MEDLINE Expression Search: inMeXes

で調べているが、やはりネイティブの力は凄い。今回の論文のbefore (自分の原稿)とafter (出版されたもの)を見比べて、使える表現などはストックしておくことが次につながる。

 

このへんの知識・技術もふくめ、論文の書き方のほとんどは大学院時代に師事した教授と助教の先輩から教えて頂いた。いろいろと脇道に逸れたりtrial and errorを繰り返したりしたけど、無駄なことはひとつもなかったなと、大学院の4年間を振り返って思う。今のボスからもたくさんのことを学んでいるので、今度は自分が教えられるようにしたい。

 

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2011年8月 解体前の実家で撮影 自分と妹の成長の柱 Nikon D40, AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8

*1:それがないものは論文にならない