Beyond the Silence

Sound of Science

路線変更とオーサーシップの話

毎週ボスとミーティングしている。いつもは水曜だが今週は水曜午前中に外出していたので、2日延期して金曜になった。

aurora3373.hatenablog.com ちなみにこのSP5、どっかのラボがずっと予約入れてて2週間後まで使えないので、対抗してそれ以降毎週金曜を押さえてやった

 

9日間もあればデータがそれなりにたまるので、今日は論文の方針も含めて長いミーティングになった。途中でボスがエキサイトしてきて自分が聴き取れる限界スレスレの速さで喋り始めたが、ボスの英語には慣れているのと、実験の専門用語がメインなので、英語が聴き取れるような錯覚を覚える。で、他の人と話すと全くダメの繰り返しだけど、留学したての頃よりはマシになっただろうか。

 

今日は今書いてる論文の話になった。自分にとってはこのラボで3本目の論文になるはずの。誰がどういう順番で名前を載せるかというAuthorshipはデリケートな問題で、日本で良くあるのが教室員全員の名前を貢献度にかかわらず載せるという"gift authorship"問題。ブラックなラボや医局だと、実際に貢献した人の名前が載らないghost authorshipというのがあるとかないとか。こちらでも多少そういうのがないとは言えないが、少なくともうちのラボはずいぶんクリアーな気がする。今回の論文はそもそも元同僚が書き始めたので自分は最初2nd authorだったのだが、最近のデータ出しによる貢献度からequally 1stにしてくれと頼んでみたらOKが出た。

少し前にNatureに出ていたauthorship関連の記事とそれに対するツイートを貼っておく。

 

違った、こっち

 

今回の論文にあてはめると、

 

アイディア

25%

実験デザイン

10%

実験遂行

10%

技術開発

10%

データ解析

20%

論文執筆

25%

合計

100%

自分

4

3

9

6

10

6

38

元同僚

8

3

1

4

6

8

30

ボス

13

4

 

 

4

11

32

*1

 

こんな感じになるだろうか。これに、おそらく最終段階で草稿のチェックを別の専門家に依頼したり、英文校正を同僚がやったりして*2データ解析・論文執筆の範囲で10%。。いくのかな?

Equally contributed 1stでも、名前が2番目だったら引用される時の "Hatena, et al. (2016)"には名前が出てこないので、貢献度の割に損をしているのだが、色々事情があるので単独1stにしてくれとは言えない。元同僚の、目に見えない貢献度のほうがおそらく上だろうと思う。せめてコレスポくれないかな・・・

話逸れるけど、分野によってこの「著者の並べ方」、全然違うみたいだ。上の記事が話題になった頃のタイムラインを見返すと、数学はアルファベット順、 地球惑星科学は貢献度順。どうやら我々の分野では3番目くらいまでが貢献度順で、ボスが最後。4番目からボスの手前まではぶっちゃけどうでもいい感じ。

 

 

で、論文が方針転換することになった。1月からやってきたデータが、某タンパク質の半減期が意外に長かったせいで使えないことがわかったのと、最近別の良いデータが出てきたので、そっちにシフトする。のこり数か月の段階での方針転換はギャンブルに近いが、元々論文書きはギャンブルみたいな側面がある。のるかそるか。

結局自分のホームグラウンドである発生学の領域で書くことになりそうなので、ちょっくら気合い入れて仕上げようと思います。

 

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先週降った、たぶん今年最後の大雪。6月に降ったことが一度あるらしいので、5月まで気は抜けない。

*1:はてなさん、デフォルトで表を貼れるようにしてください

*2:いつも校正をやってくれる英国人の同僚は、英語が誰よりもできるという一点において得をしているとも言える