1年以上前のこの記事のつづきです。
補聴器のBIG6、6大メーカーといえば
・フォナック (スイス)
・オーティコン (デンマーク)
・シーメンス (ドイツ)
・GNリサウンド (デンマーク)
・スターキー (USA)
・ワイデックス (デンマーク)
日本ではリオンやパナソニック、マキチエなどが作っているが、シェア的にはこのBIG6が強いのではないかな。
補聴器は欧米を主戦場として日々進歩している。この2〜3年で発売された4機種を試聴する幸運にめぐまれたのでレビュー。
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ワイデックス Beyond 440 (日本語サイト↓) RIC (小型耳掛け)タイプ
ワイデックス社は10年以上前に補聴器にデュアルCPUを搭載して、素早いレスポンスを得られるようにした先進のメーカーだが、Bluetoothを使ったiPhone等との連携は少し遅れていた。やっと他社に追いついたのがこのBeyond。
補聴器はどのメーカーも、最高峰が50万、ハイクラス35万、エントリー20万みたいな分類で、機種によっては廉価版110もある (すべて片耳あたりの価格)。その違いはバンド数 (バンド数多いほど細かく周波数特性を合わせることが可能)、ノイズリダクションの精度などなど。
最新機種Beyondの440を借用して数週間使ってみたところ、さすがに8年前のモデルとは比べものにならないほど強力で快適な聞こえが得られた。聴力のわりには小さめのチューニングを自分は好むので、出力が小さくて聞こえにくいシーンはあったが、仕事も支障なく電池の持ちも良いので使いやすかった (Bluetooth OFF時)。ちなみにBluetoothでiPhoneと繋いでいると、常時接続されているので2日ほどで電池が切れてしまう。そこは要改善。
聞こえ ◎ S/N ○ 使用感◎
ワイデックス Unique 440 CIC (挿耳型)
上記Beyondのひとつ前のモデルで、Bluetooth連携機能以外はほとんどBeyondと変わらないらしい。
仕事でマスクを使うので、耳掛けより耳穴式の方がうんと使いやすい。マスクは耳掛けの本体とイヤフォンの間のケーブルに引っかかる。装着に時間がかからないのも◎。
聞こえはハイパス・ローパスフィルターがかかっている感じで、かなり五月蠅さが軽減され、会話音域を中心にブーストしてある感じ。静かな所ではワイデックスの味付けが好み。騒音下では、後述のオーティコン最新機種のほうがききやすい。
自分の耳は乾燥型耳垢なのだが、これをしているとずっと湿った感じがして痒みが強かった。Unique 330を今度借用する予定で、そちらにはアレルギー低減処理をしてあるらしいので楽しみである。
聞こえ ◎ S/N ○ 使用感○
オーティコン Opn (オープンと読む) RIC (小型耳掛け)
https://www.oticon.co.jp/solutions/main/opn
同社前モデルの50倍 (!)の処理速度を持ったCPUを内蔵しており、高速で環境音に対応することによって自然な聞こえを実現している。
納涼会シーズン、実際に飲み会などで試用してみた。今までは個室少人数以外の飲み会は全く会話に入れず苦痛でしかなかったのだが、Opnはシーンによってはかなり会話にキャッチアップでき、限定的ではあるものの飲み会を楽しむことが可能になった。
こちらは少し大きめの音で作ってもらった。かなり器械の音などは響くが、これまでになく会話が聞き取りやすい。無理に集中しなくても聞こえるので疲れない。
Opn1、2、3とこちらも3段階のモデルがあり、1は両耳100万くらいしそう。聞こえは最強だと思うが、電池の減りが異様に早い。高性能CPUの宿命?設定の問題?
RICなのでゴム紐のマスクとの相性が悪い。それをさしひいても、この聞こえは手放せなさそう。
聞こえ ◎ S/N ☆ 使用感○
GNリサウンド リンクス3D 9 挿耳型
こちらは、RIC (小型耳掛け)ではなく挿耳型でBluetooth対応の機種を探していて見つけた唯一のモデル。ただ、CIC (耳穴にすっぽり入るやつ)ではなく、実際の製品はかなり大きかった。これなら耳掛け式のほうが良い。
GNリサウンドはワイデックスと違う色づけ。低音や高音をしっかり拾う感じなので、鮮やかな音が聞こえてくる。慣れないと相当五月蠅く感じるかも。試用期間が短かったので慣れなかった。補聴器は3か月、少なくとも1か月くらい使わないと脳がフィットしないと思う。
音楽を聴くならこれがいいかな。騒音環境でチェックできていないので、レビューとしては不完全かも。長めに試用させてくれるところがあれば試したい。
聞こえ ○ S/N ? 使用感△
今回試した4機種は全て最上位機種。サクッと買えたら良いのだが、100万はちょっとなぁ・・・。外来に来る難聴の患者さんも皆がこの金額をポンッと出せるわけではなく、一番安い機種を、という紹介状を書く機会も多い。まともな性能で一番安い機種、片耳という条件でも5〜8万くらいするし、可能なら両耳装用が良いので、ある程度経済的な余裕がある人限定になってしまうのが悩みどころ。
日本経済が停滞している間に、これら補聴器を開発している諸外国のGDPは数倍になっているので、海外の製品は全て高く感じる (安さを求めるなら国産メーカーだったり)。とはいえ、生活に直結する問題なので、今のが壊れる前に何とかしたい。
値段についてのブコメを頂いたので7/24追記。
補聴器の機種毎の違いは上記のようにバンド数 (周波数毎の調整能力)とノイズリダクションの精度。最上位機種100万ってのは高音、低音、中音など特定の周波数で特に聞こえにくかったり、騒音環境で会話する機会の多い人に向いている。逆に、聴力検査結果が割と平坦だったり、静かなところで使う機会の多い人はエントリーモデルで十分。