Beyond the Silence

Sound of Science

花粉症薬の保険適応除外??

医療費抑制の名目で、耳鼻咽喉科診療に大きな影響がある決定が行われようとしている。

 

 

 市販薬、またの名をOTCといい、処方薬と同一成分の薬が薬局で処方箋なしに購入できるものがある。先発品の特許が切れ、ジェネリック薬も出ているような古株の薬が対象だ。

 

この決定によって削減できると見込まれる医療費は約600億円。ちなみに、2018年度の総医療費は42兆5713億円。

総額からすると微々たるものだが、小さな削減の積み重ねは重要・・・

でもその対象、本当にそれでよいのか?

 

柔道整復の療養費 3,663億円。

6倍の額が、整骨院等への通院に支出されている。そもそも健康保険から支出する必要があるのかどうかも疑問で、優先順位が違う気がしてならない。

 

医療費42兆円のうち、自己負担額は5兆円。

自己負担1割、公的資金9割の後期高齢者と、自己負担2割の前期高齢者が医療費の6割弱を使っているのと、高額な医療には所得に応じた助成があるので、平均して1割強の自己負担額に収まっている。そこにもメスが入り、後期高齢者が2割負担になる可能性も取り沙汰されている。反対意見が多く挙がりそうだがどうなるだろうか。

 

翻って花粉症、アレルギー性鼻炎。

アレルギー性鼻炎は有病率4割とされるので、5000万人弱が罹患している計算。その症状 (鼻閉: はなづまり、鼻水、くしゃみ、かゆみ等)のうち、鼻閉がもたらす経済損失を、千葉大学の岡本教授は年間4兆4千億と試算している*1

多少のCOIはあるかもしれないが、鼻の手術まで受けた身としては納得のいくところである。すごく単純に考えると、鼻炎の症状がなければGDPが4兆円増えるのだ。

 

アレルギー性鼻炎の患者は学童・学生・社会人など、現在の、そしてこれからの生産年齢人口に多く分布しているので、鼻炎治療を抑制することは何のためにもならない。

新薬は保険適応でありつづけると思われ、日常診療に大きな影響は今すぐには出ないかもしれないが、その期限はOTC化されるまでの短い間であるし、何よりも、耳鼻咽喉科に患者が通院しなくなることによって、みみ・はな・のどの健康がもたらす生活の質を軽視する風潮が蔓延することを恐れる。

 

日本耳鼻咽喉科学会は緊急声明を出して再考を促すべきである。

 

 

以下脱線。

参考までに、厚労省の統計を抜粋しておく*2。ざっと検索して見つかったのは2016年度だが、大きな違いはない。

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まずGDP/GNIに対する医療費の比率。GDP伸びが無く、医療費が増加しているのでこういうことになっている。世界は経済成長しており製薬企業のある主要国のGDPは、NIRA研究報告書*3より転載するが米国を中心に順調に伸びている。これは2008年までのデータなので、この10年をみると日本はもっと沈んでいるだろう。要は、世界経済は成長しているのでそれに伴って薬価や機材など医療コストは上がり続けているということで、話は逸れるが補聴器などもそう。

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次は医療費の出所。厚労省データベース。

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42兆円の医療費で、患者負担は5兆円。1割強。それ以外は健康保険を含む公費から出ている。75歳以上の後期高齢者に14兆円支払われている。

 

次に、何に使われているか。出典は同上

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ほとんどが医科、つまり歯科治療以外の「病院・診療所」での医療費。薬代が2割でそれに次ぐ。

 

次が疾患別。循環器系 (ほとんどは心臓と脳)、腫瘍が主。男性は泌尿器 (前立腺)、女性は筋骨格 (リウマチや人工関節など?)、COPD (タバコ肺)、糖尿病などが上位。

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最後に、お勧めの鼻洗浄キットを紹介しておく。「エー」と言いながら鼻をお湯で洗うアレ。鼻炎・副鼻腔炎・上咽頭炎の治療はこれが良いです。

ニールメッド サイナスリンスキット 鼻洗浄、鼻うがい製品 ボトル+60包

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ようやく実感したJALグローバルクラブの真価

久しぶりにブログを書こうと思ったのは、今回の出張が台風にぶつかったためである。

 

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元々10日木曜〜12日土曜で予定していた出張だったが、委員会2つと自分の発表が11日金曜午前で全て済んでしまう日程が幸いし、12日土曜の飛行機を11日に変更することにした。

 

台風が接近するらしいというニュースを受けてその決定は8日火曜日に行ったのだが、既に11日はJALもANAも全便キャンセル待ちであった。クラスJと普通席の全てにキャンセル待ちを入れ、祈りをささげたところ・・・

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2路線を確保することができ、委員会に出席できるほうを残してキャンセル待ちをキャンセルした。

ANAのほうが便数が多いにもかかわらず、平会員であるANAの席は取れなかった。

 

JALはダイヤモンドステータス、JGCプレミアステータスが優先度S、サファイアステータス、JGC (グローバルクラブ)が優先度A、一般会員がBである。何らかのステータス会員は10%程度と言われているので、優先度の高いステータスを持っている方が緊急事態には強い。

 

これまで、優先搭乗やラウンジなど確かに恩恵は受けてきたが、今回ほどJGCに助けられたことはなかった。帰ってすぐ仕事なので、穴をあけずに済む。

 

 

そもそも自分がJGC修行をしようと思った最初にきっかけが、留学から帰国した日のトリプル台風直撃。

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飛行機が全然取れなくて宿も取れなくて大荷物で、時差ぼけと疲労で自分も家族も本当に辛い思いをしたので、リスクを最小化できるのならばと思ったのだった。

 

今回の台風は関東に直撃する台風としては最強クラスとのこと。被害が少ないことを祈ります。皆さん、最大限の備えを。