Beyond the Silence

Sound of Science

難産

論文の話です。

 

留学生活の後半、とくに最後の3か月を費やした解析のデータを論文にする作業、当初は去年いっぱいで形になるはずだったのだが、想定外の結果が出たりして少しずつ形を変え、最終的なstoryになったのが今年の春。

 

それからはひたすら説得力のあるデータを出そうと藻掻く日々。大事な時に試薬のロットが変わったりとか抗体が販売中止になったりとかで、何故か実験がうまくいかなくなって2か月ほど棒に振った。何度か書いてきたが、ようやく帰国2週間前にトラブルシューティングがうまくいって、それからは怒濤のデータ出し。

 

去年の春に送り出した、今では共著者となった同僚も帰国直前まで実験をしていたが、自分も同じ轍を踏むことになった。最後くらい遊び倒して帰りたかったのだが、やはりそれよりもきちんとしたデータを出すことのほうを選んだ。

 

帰国後のドタバタの中で時間を捻出して少しずつFigure (論文の図表)とmanuscript (論文の原稿)を進めてきたが、やっと拙いながらも自分の中である程度の形になり、共著者とボスのところに送ることができた。気付くとこのテーマで実験を始めてから1年半が経っていた。

 

 

解析の種類にもよるが、論文ひとつが仕上がるのに要する時間は通常年単位。自分の時間を全てそれに充てられるわけでもないし、他の研究テーマも同時に進める必要があるので、どうしてもそれくらいの時間がかかってしまう。今回は機能解析をしていないので、今となっては数か月で出せるデータにみえるのだが、ひとつひとつの因子ごとに条件を最適化する手間とかを考えるとやはり年単位になってくるのかなと。

 

今回は今のところequally contributedの1st authorだが、正直帰国前後は実験ができていないので、共著者の力によるところが大きかった (彼がequally contributed author)。研究に臨む姿勢、データとの向き合い方などいろいろなことを教えてくれる大きな存在だ。

 

 

やることは無限にあるし、息をつく暇もないのだが、原稿を共著者に送った日だけはゆっくり眠ることにしている。ここまで難産だったが、投稿から掲載までスムーズにいければいいなと願わずにはいられない。

 

堅苦しい研究者の日記になってしまった。そうこうしているうちに科研費の申請の時期が近づいてきた。留学中に学んだことを活かすのはこれからなので、7時22時の今の仕事スタイルでは絶対に不可能だが、何とかして時間を捻出して、持続可能な研究テーマを設定したい。

 

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写真みてたらまた戻りたくなった。