Beyond the Silence

Sound of Science

障害者の権利

全日空系のLCC、バニラエア社の車椅子での利用を巡るトラブルがニュースになっている。社会的にはいち健常者であり*1、身体的にはいち障害者の立場から思うことをメモしておきたい。

 

togetter.com

 

木島さんという活動家然とした方が、おそらく体勢的に不可能だと知っていながら搭乗を強行して、会社の対応のまずさを広く知らしめるという事件である。これについては様々な意見があるようだが、肝要なことは、障害者というのは免罪符にはならないということである。

 

もちろん、健常者と比べるとハンディを背負っているわけであるし、社会生活を送る上で一定のサポートは受けられるべきだ。それは障害者の正当な権利である。ただしそれは、社会の一員としての責務を果たすという前提があってこそではないか。

その障害の程度に応じて、他者に不必要な迷惑をかけず、社会全体としての幸福の総量が最大化されるように振る舞うように努力はするべきなのだ。できないのは仕方がない。しかし障害を盾に、主義主張を押し通すのは違和感しか覚えない。個人の行きすぎた要求により飛行機に遅延やトラブルが発生したとしたら、その損害は莫大なものになる。そんな飛行機に同乗したいとは思わない。自分の感覚的にはここのブログ記事と非常に近い。

 

障害者の同行者の視点から、バニラ・エアとK氏とバリアフリーの雑感

書きたいこと全部書かれてしまった。正論である。

2017/07/01 15:44

 

 

自分のTwitterタイムラインは、この件に関して真っ二つに割れている。木島氏の行為に違和感を覚えるのは、多くは社会的強者である人々。幸いにも航空会社側をひたすら悪く言う人は自分の観測範囲内にはいなかったが、障害者側に一定の理解を示し、誰かが声を上げないと何も変わらないという意見は、自分のタイムラインでは主に聴覚障害者がメインになるが、障害者当事者側でみられた。その代表が乙武さんである。

 

 

どっちの立場も非常によくわかる。そもそも前提が違うので歩み寄りには限界があるが、長年声を上げて障害者差別解消法を勝ち取ってきた障害者の歴史を健常者は尊重するべきであるし、障害者も社会の一員でありその能力に応じて*2責務を果たしていくべきであろう。

しかしながら、木島氏の「プロ障害者」としてのこれまでの行いが知られるにつれ、そしてバニラエア側のこれまでのバリアフリーへの取り組みが明らかになるにつれ*3、障害を持つ人々からも、氏を擁護する意見は減っているように思う。

 

 

障害があってもひとりの人間として扱ってもらいたい。これは多くの障害者の切なる願いである。今回の事件を通して、そのことに対する理解が深まればよいのだが、氏の行為は長い目でみると障害者全体の利益にはならない。自分は決して彼の行為を支持しない。

 

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朝顔が咲いた。

*1:補聴器という文明の利器によって

*2:ブコメにあったリンク先の記事に対して追記。個人個人が他者を思いやれる範囲で、という意味で書いた。自分のことしか考えられない時期や状態にある人は、精一杯自分のことを考えれば良く、周囲がそれをサポートすれば良いと思う

*3:LCCなので遅いことは否めないが