はじめにボスから、メンターになる気はあるかと聞かれる。こっちでは指導する/される立場のことをメンター/メンティーといい、指導というよりも助言者のようなイメージ。必要があれば助けるが、基本的にはメンティー (この場合は学生)本人が自分の力でやれるとこまでやる。自主性を重んじる文化ならではのシステムだと思う。
以前大学院の後輩を指導しきれなかった (その子は産休を経て退学してしまった)経験があるので躊躇したが、結局二つ返事で引き受けた。
担当した学生は医学部志望の学部3年生で、ニューロサイエンスに興味があるとのこと。ラボでの経験もあり、実際一緒に実験をしてみるとそれなりに手慣れた感じで頼もしい。
ボスから彼のテーマを決めてくれと言われたので3つほど考えてそのうちの一つが採用されたのだが、苦節3か月、ついに良いデータが出た。日々少しずつ技術的な進歩があり、論文検索からアイデアを得て改良を加え、最終的に世界初の (それがどんなに些細なものであろうとも)データを得ることの喜びは、研究者の醍醐味だと思う。
彼がいつかサイエンスの世界に戻ってくることを願ってやまない。自分も頑張ろう。