スギ花粉のシーズン真っ盛りですね。
らいちさん (id:AzuLitchi) の記事に反応させて頂いて、久しぶりにブログを書こうと思った夜。
私の花粉症対策 - らいちのヒミツ基地
耳鼻科医がマジレスしにきました。抗ヒスタミン剤を花粉が飛び始める少し前から始めるのが良く、ステロイド点鼻を追加するとさらに効果的です。ブログ久しぶりに書くかな。。
2019/03/18 21:59
高度経済成長期の国策としてのスギ植林が実を結んだ結果、花粉を大量生産する壮年期のスギ林が日本全国にあるので、国民病と言って差し支えない病気になっています。その経済的損失は決して無視できないレベル*1。
花粉症は、言うまでもなく花粉に対するアレルギー性鼻炎。空気中に漂う花粉を鼻から吸い込み、鼻粘膜に多数ある免疫細胞が「こいつはアカン奴」と認識して排除しようとする反応。
なので、その対策は大別すると
- アカン奴を減らす
- 排除する反応を減らす
- 鼻の構造を変える の3つ。
アカン奴を減らす
アカン奴 (アレルゲン)を減らすには、やはりマスクとか空気清浄機とかが候補に上がります。自分も例外なくクラス5*2のスギ花粉症なので、花粉が存在する空間に誰よりも早く気付くのですが、HEPAフィルター*3完備の手術室では全くアレルギーが出ません。
自宅ではこれの旧機種を使っています。花粉モードがあるのが特長。
マスクは正直、鼻と口がちゃんと覆えていれば問題ないと思います。
あとは鼻洗浄。うちの病院の売店でも最近入った洗浄用ノズルはコンパクトで使いやすいです。

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アレルギー反応自体を減らす
薬物療法が主体になります。
肝は、花粉が飛び始める少し前から内服を始めて、アレルギーの悪循環を防ぐことにあります。毎年気象庁が発表する花粉前線のデータ*4をみて内服開始の時期を決めたらよいと思います。今年はもう遅いけど・・・
アレルゲンが免疫細胞に認識されると、さまざまな化学物質が細胞内外に飛び交い、鼻水を出したりくしゃみを出したりしているので、 その化学物質を抑制してしまうというのがその戦略。
抗ヒスタミン薬 (いわゆる眠気のある鼻水の薬)
抗ロイコトリエン薬 (眠くならない鼻づまりの薬。喘息の薬でもある)
ステロイド薬 (副作用をなくすため点鼻薬として局所のみ作用する)
が、アレルギー性鼻炎ガイドラインで推奨されています*5。
抗ヒスタミン薬は、市販の風邪薬なんかにも入っていますが、それは主にめっちゃ眠くなる旧世代の薬。最近の薬は、効き目そこそこで全く眠くならない (運転に関する注意事項がない)ものと、効き目に全振りして人によっては眠気がくるものとに分かれますが、旧世代のものよりはいずれも遥かに眠気が少なくて使いやすいものです。
一部の薬はOTC化されて、処方箋なしで薬局で購入できるようになっています。
もうひとつ、画期的な治療法として「減感作療法」があります。
多くの人が米を食べてもアレルギー物質と認識しないのは、「免疫寛容」という働きによるもの。正常に機能する免疫系では、たまに来るのをアカン奴、いつもあるのを良い奴として認識する (ざっくり言うと)ので、過剰にアレルゲンを投与して空気みたいな存在にしてしまおうという治療法。
過剰投与するので激しいアレルギー反応が起こることがあり、たまに生命の危機にまで発展することがあります。なのでその治療は講習を受けた耳鼻咽喉科専門医でしかできないようになっています。
鼻の構造を変える
花粉症の症状は大別して
・鼻水
・鼻づまり
なのですが、それぞれ手術で一定の効果が見込めます。特に、鼻中隔弯曲があって数年〜数十年鼻づまりに苦しんでいる人には絶大な効果を発揮します。これまで多くの患者さんから、「人生が変わりました」との嬉しい言葉を貰いました。
個別に術式を検討する必要があるので、お近くの耳鼻科で相談されて下さい。間違っても整体で花粉症を治すことはできません。
とりあえず、こんなところです。
上記全てやっても今年の花粉は辛かったので、国策として無花粉スギ*6の普及を強く希望します。
*1:鼻閉を伴うアレルギー性鼻炎に係わる経済的損失 (医薬ジャーナル 50巻3号) | 医書.jp
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrhi/48/3/48_3_305/_pdf
*2:アレルギーには重症度があり、アレルギーなし0〜重症6まで7段階ある
*3:空気中の微粒子を除去するフィルター
*5:症状や重症度に応じて使い分け。これら以外にも別の機序で効く薬がある